ナポレオンは、軍事において、彼の右に出る者のいないほどの天才であったといいます。ところが、天才司令官ナポレオンの裏をかき、自国を守りきった英雄がいました。
彼の名は、老将軍クトゥーゾフです。
ナポレオンがロシアに攻めこんだのは1821年。首都モスクワを占領せんと、モスクワ付近にあるポロジノ村において、大会戦がおこなわれました。
両軍双方とも13万以上の兵力に、600を超える大砲という大規模な戦争でしたが、結局勝敗を決っすることはできませんでした。ロシア側のクトゥーゾフはここで退却をしはじめました。敵が目の前で逃亡しだしたのです。ねらいはほぼ達成されたと考えたナポレオンは、意気揚々とロシアの首都モスクワに乗りこんだのです。
しかし、ナポレオンが目にしたものは焦土と化したロシアの首都でした。これでは冬営できないため、作戦本部もつくれず、食糧の調達もできないとあって、さすがのナポレオンも呆然。じつはこれはクトゥーゾフの作戦だったのです。
ナポレオンはあわてて和議を申し出ましたが、時すでに遅し。ついに、ロシア軍の追撃とロシアのすさまじい冬将軍に追われながら、モスクワから撤退しなければならなくなりました。
クトゥーゾフはみずからの首都に火をつけるという捨て身の作戦で形勢を一気に逆転、長びけば勝ち目のなかった戦争に終止符を打ったというわけです。
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