かつて、美容院へは、いわゆる落毛屋が出入りしていました。切り落とした髪を買い取るのです。しかし、最近の日本人は、整髪料をつけたり、パーマをかけたりして、髪が傷みがち。引き取る髪の値段が暴落していたのです。
そのため、多くの美容院では、切った髪を事業用ゴミとして出しています。が、この髪の毛、じつは意外なところで利用されています。
まず、毛芯(けじん)として。紳士服などのえりの芯には、ほかよりも硬い生地が入れてあります。この生地には、羊毛、綿、ポリエステルといっしょに、髪の毛が混ぜてあるのです。
また、集めた髪を電気分解し、システインという物質を取りだします。すると、このシステインは、髪を傷めないパーマとして人気の高いシステイン・パーマの液になります。しかも、このシステインは、ノドをやられたときの気道改善剤や肝臓薬にも、利用されています。
さらに、たんぱく質でできている髪の毛は、分解すると、20種のアミノ酸になります。このアミノ酸は、すべてのうまみの素。なんと、化学調味料やだしの素、メン類のつゆの素に、つかわれているといいます。
このアミノ酸の中でも、もっとも多いシスチンは、乳児用の粉ミルクにも添加されます。このシスチンが、母乳に多くふくまれているからだが、最近では、傷みの激しい日本人の髪の毛のかわりに、これら加工用髪の毛は、中国やインドから輸入されています。
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