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ハイドンの頭蓋骨、胴体と一緒になるまでの波澗万丈の物語

世の中には、有名人の骨を、墓を掘り返して盗む人がいます。熱心なファンが、自分のものにしたくて盗む場合もありますが、遣族に脅迫状を送り、金を要求する場合もあります。
こうした例は西洋にもむかしからあったらしく、作曲家のハイドンの頭蓋骨が盗まれ、150年近くも、ハイドンの遺骨には頭蓋骨がないままでした。
ハイドンが死んだのは、1809年のこと。ウィーンの墓地にちゃんと埋葬されたのですが、墓泥棒によって頭蓋骨が盗まれてしまいました。この泥棒たちは、大作曲家であるハイドンのことだから、その頭蓋骨はふつうの人とかなりちがうのではないかと思い、それをたしかめたくて盗んだらしいのです。金目当てではなく、学術的興味でもって盗んだのでした。
その後、この泥棒は頭蓋骨をもったまま死んでしまいます。1839年、ハイドンが死んでから30年後のことでした。困った未亡人は、それを知人の医者に渡します。
この医者が、頭蓋骨をウィーンの病理学研究所に寄贈したのは、それからさらに13年後。すでに、ハイドンの頭蓋骨の存在は、かなり知られていたようです。
この研究所の所長が亡くなると、ウィーンの楽友協会にようやく移管されます。そして、1954年になって、ハイドンの墓そのものが改葬されることになり、頭蓋骨もいっしょに埋葬、ようやく胴体といっしょになれたのです。
ハイドンの交響曲ではないが、『驚愕』の頭蓋骨物語でした。

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