ショーン・オニールは16世紀に活躍した梟雄(きょうゆう)です。彼はアイルランドの一部族の長として、武力を誇りました。
ショーンは人びとから「アイルランド唯一の強者」とよばれ、「ルシファー(悪魔)」として恐れられました。
政府を相手にさんざん反乱をつづけ、それに失敗すると、手のひらを返したようにエリザベス女王に甘言を弄して近づきました。
とにかく、手のつけられない暴れ者で、ほかの豪族の領地を侵し、財産や家畜を強奪するなど朝飯前。
領土を広げるためには、女王と結んだ講和を楯にとって、盟友であったはずの一族を襲い、当主を捕虜にするということも平気でやりました。
その結果、ショーンは騎兵1000騎、歩兵4000を擁するアイルランドでいちばんの強者となったのです。
しかし、やることなすこと思惑どおりの彼も、運命までかえるわけにはいきませんでした。思いあがったショーンは、アイルランドをイギリスから解放しようと、イギリスの総督領に侵入しました。これが彼の転落の原因となりました。
さんざんショーンに手を焼いていた総督は、この行動をしっかり予測していたのです。思いもよらずあっさり撃退されてしまったショーンは、大きな痛手を受け、反逆者の汚名を着せられることになります。そしていままでさんざん裏切ってきた仲間の攻撃を受け、ついには惨殺されてしまうのでした。
ショーンは多くを望みすぎたがゆえに、すべてを失うという愚かな男となってしまったのです。
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