小学校の頃、音楽の教室に飾ってあるバッハやモーツァルトの肖像画を見て、なぜ、あんなカツラをかぶっているのか不思議だった人も多いはずです。
これは、中世ヨーロッパでは貴族たちがカツラをつけるのが習慣だったからです。この習慣は、16世紀後半、イギリス女王のエリザベス一世が、痘瘡(とうそう)にかかったことがきっかけになって生まれました。痘瘡とは、天然痘ウイルスによる感染症で、特徴的な発疹が出ます。そのため、この病気にかかった女王は、頭髪を完全に失ってしまいました。それ以後、女王は色とりどりのカツラを愛用するようになり、それが貴族全体に広まったといいます。
一方、フランスではルイ13世がハゲ始め、カツラを着用するようになってから大流行。しかし、フランス革命で貴族が衰退するとともに、カツラの風習も姿を消すことになりました。
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