たいていの方は、魚は新鮮であれば新鮮であるほどうまいと思っているようです。では、新鮮そのものの生寶料理は、ホントにうまいのかというと、これが一概にはいえないのです。
生實料理とは、店内に大きな水槽をしつらえ、そこに生きた魚を泳がせておき、客の注文があるたびに、その魚を刺し身などにして出す料理のこと。なにせ、まな板に乗る直前まで、その魚は生きていたわけだから、これ以上、新鮮な魚はない、というのが売り物です。
たしかに1日程度なら、獲れたばかりの魚を生贄に泳がせておく意味はあります。胃の中身が消化され、よけいな脂肪分がとれるからです。
しかし、それ以上、生寶に生かされていた魚は、必要以上に脂肪が落ちてしまい、はっきりと味が落ちるのです。
また、魚には、獲れたてを調理するより、締めてからある程度、時間がたったもののほうが熟成が進んでうまくなるものが多いのです。
魚ならなんでも生や新鮮がいいというものではありません。酢でしめる、太陽に干す、寝かせる……魚をおいしく食べるには、昔からそうしたさまざまな知恵があったことを忘れてはなりませんね。
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