フィギュアスケートの選手は超人的で、あれだけのスピンをしても目がまわらない……というわけではありません。ふつうの人とおなじように、目がまわっているのですが、元の状態に戻るのがとても早いのです。
「目がまわった」と感じる場所は、内耳の三半規管、眼球、そして体や首の筋肉や腱(けん)にある深部知覚器です。目がまわり始めると、これらは体の回転を意識し、バランスを保とうとします。たとえば眼球は、テニスのラリーを見ているときのように、回転方向に目を向けたと思ったら、次に反対側に移動し、また回転方向にすばやく戻るという動きを繰り返して、バランスを保とうとします。
ふつうの人間は、まわるスピードが速くなるとこうした平衡バランスを保とうとする働きがスピードについていけず目をまわしてしまいますが、フィギュアの選手は小さいころからの訓練で、速い回転運動にもシステムがついていけます。目がまわっても、元の状態にすばやく戻す能力が備わっているのです。
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