料理番組でつくった料理は、収録後、番組スタッフが食べています。なにしろ、その料理をつくるのは、料理家の先生とか、有名なシェフ、タレントと、いずれもプライドの高い人ばかり。せっかくの料理を捨てたと、耳に入れば……と想像するだけで恐ろしい。
それよりも、「いや〜、このあいだのリングィーネ・バジリコソース、最高でしたね」と、ニッコリするほうが、次回の打ち合わせや撮影も、スムーズに運べるというものです。
そのことで、べつに番組スタッフも困っているわけではありません。若いスタッフなど、食事代が浮くと喜んでいる者もいます。番組でつくった料理は、じっさい、おいしいのです。
というのも、番組スタッフには、最初から、料理家のアシスタントや料理の専門家が加わっています。しかも、テレビの料理番組では、最後に大きく映す完成品の見栄えが勝負。その完成品は、ほとんど、この専門家のスタッフによってつくられています。
また、料理のヘタなタレントが営業で出演した場合は、自分の母親や叔母を連れてきて、助けてもらうのがふつう。完成品は、番組の専門スタッフか、その母親などがつくるから、スタッフも、安心して食べられます。
さらに、料理自慢のタレントなら、その手料理に、食べられないほどマズイものはほとんどありません。そんなとき、「某有名女優の手料理を食べちゃったよ」と、意味ありげにしゃべるのも、テレビ局の連中です。
しかし、テレビで放映する途中経過は、NGがでたりして、たいてい途切れ途切れに撮影したもの。料理の味は二の次で、いかにわかりやすく、そしておもしろく収録できたかが問題となります。
つやをだすために、サラダオイルを塗ったり、二度焼きをしたりするケースもあるほど。はなから、食べ物として考えていないのです。
(Visited 2,461 times, 1 visits today)