1814年のことです。ナポレオンはライプチヒの戦いでプロイセン・オーストリア・ロシアの同盟軍に破れ、エルバ島に幽閉されてしまいました。彼の失脚によって、ルイ18世が王位に就き、彼の時代は終わりを告げるかにみえました。
ところが、ナポレオンは翌年2月にエルバ島を脱出、南フランスに上陸して全ヨ-ロッパを驚かせました。そして、兵士や農民の歓迎を受け、パリに帰還して皇帝に復位してしまったのです。恐るべき執念であり、驚くべきカムバックです。
この過程を、パリの『モニトゥール』という新聞の見出しで追ってみましょう。
「悪魔が流刑地を脱出」
「コルシカ生まれの狼はカンヌに上陸」
「猛虎はガップに現れる」
「專制皇帝リヨンに入る」
「ボナパルトは北方へ進撃中」
「ナポレオンは明日パリへ」
「皇帝、フォンテーヌブローに」
「皇帝陛下、昨夕チュイルリー宮殿にご到着」
呼び名も「悪魔」から「ナポレオン」になり、最後には「皇帝陛下」となっています。マスコミの混乱と彼の力のありようがよくわかろうというものです。
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