江戸時代の大名の国替えというと、何百人何千人もの社員とその家族全員が、同時に転勤し、引っ越すようなものです。手続きや手順がうまくいかず、大騒ぎになる大名家も少なくありませんでした。
国替えになると、まず城内の諸道具や帳簿をそろえて、新城主に引き継がなければなりません。その一方、移転先へ出向き、藩士全家族の引っ越しの準備をうちあわせなければなりません。移転先に十分な家がなければ、到着しても落ちつく先がないのです。
また、家臣の家族らが一時にどっと押しかけては、先方の城下町が大混乱になります。そこで、夫人や子供を30〜50人ずつにわけ、順番に引っ越しましたが、自分たちで荷車を引いて何百キロも歩いたため、道中で病気にかかる人もいました。とくに、雨の多い時期には、病人が続出したのです。
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