日本人は、世界中でとれるマグロの3分の2以上を食べているといわれます。なかでも、日本人のお目当てはトロ。値段はバカ高だが、寿司ネタの人気ナンバーワンであることはいうまでもありません。
しかし、このトロも、江戸時代はまったくの嫌われもの。当時、人気があったのは、同じマグロでも「赤身」です。
江戸っ子が赤身が好きだったのは、トロに比べれば味がさっぱりしており、見た目も美しかったからだとか。野暮を嫌う江戸っ子たちにとって、トロの脂っこさは野暮、見た目にも美しい赤身のさっぱり具合は粋だったのでしょう。
当時の魚屋は、売り物にならないトロは自宅で消費していましたが、それにも限界がきます。トロの処置に困った魚屋は、やがてこっそりと寿司屋に卸すようになりました。寿司屋では、トロを薄く切ってしまえばそう脂っこくもないだろうと、そっと握りのネタに使うようになったのです。
ところが、時代がくだって昭和になり、それも戦後を過ぎると、日本人は脂っこいものが好きになり、トロの人気は急上昇。需要と供給の関係で高級ネタになったのです。
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