「100年前の空気と比べて、現在の空気はこんなに汚れています」
ときどき、こういうデータを発表するシンクタンクがあります。しかし、そういう研究機関が、1世紀も前の空気を保存してきたわけではありません。もし、1世紀前、先見の明ある人がいたとしても、当時の技術では、100年もの間、完全な形で空気を保存できたわけがありません。
それでは、なんでこんなことがいえるのでしょうか?
自然の力は恐ろしいものです。1世紀前の空気を、自然のなか、偶然保存されてきた場所があるのです。たとえば、南極の氷河のなか。その奥部には、1世紀前の空気も2世紀前の空気も、気泡として存在しているのです。
降り積もった雪は、最初、ふわふわと大量の空気を含んでいます。それが、自分の重みと、上から積み重なってくる雪、氷の重みで圧縮されます。そのとき、空気は気泡となって氷のなかに閉じ込められていくのです。
あとは、氷層の年代を調べれば、約100年前の空気を手に入れることができるわけです。
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