室町時代の『御伽草子』によると、「一寸法師」の物語は、次のようになります。
一寸法師は、お椀の舟に箸の櫂(かい)をこいで、京の都へのぼります。そこで、三条宰相に召しかかえられ、三条宰相の娘にひと目惚れし、一芝居打ちました。
神前に供える米を眠っている娘の口になすりつけ、泣き叫んだのです。そして、「姫様がとって食べちゃったんです」と訴えると、宰相は「そんな娘を都にはおいておけない」と、二人で難波へ追放されます。ところがその道中、嵐に遭い、孤島へと流されます。そして、その島の鬼と針の剣で戦い、退治。鬼が忘れていった打出(うちで)の小槌(こづち)で、背の高い青年に生まれ変わるのです。
ここまでのストーリーはなんとなく知っていても、その後の一寸法師の消息を知る人は少ないでしょう。
姫と二人、京へもどった一寸法師は、帝に呼ばれて宮中へ参内。そこで、先祖を調べると、祖父はかつて無実の罪で流人となった堀河中納言の息子、祖母は伏見少将の子だったことが判明します。
そこで、帝は一寸法師をとりたて、堀川少将とします。それから、一寸法師は故郷の難波から父母を呼び、三人の子供に恵まれて、中納言にまで出世しました。ホントの終わりも、やはりハッピーエンドだったのですね。
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