人間、窮地に追いこまれると、とんでもない力を発揮するといいますが、母親ともなると、それがさらにパワーを増すようです。
1970年、イタリアでサーカスのライオンが脱走するという騒ぎが起こりました。このライオンは近くで遊んでいた小さな男の子を追いかけました。
男の子の命はもはや風前の灯(ともしび)。すぐに追いつかれてバクッ!となるところでしたが、このとき、この子の母親が敢然とライオンに立ちむかったのです。
そして、ただ追い払うだけでなく、ライオンをこっぴどくたたきのめしてしまったというのです。
けっきょく、ケガを負ったのは男の子ではなく、ライオン。頭など数か所に傷を負って治療を受けましたが、百獣の王もかたなしで、しばらくはショック状態だったとか。
子を思う一念をもってすれば、母には怖いものはない。母はライオンよりも強し!という逆転の図式が成り立ったのでした。
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