かつてのマルコス政権下のフィリピンでは、一部の権力者が、地位を悪用して私腹をこやすのは日常茶飯事でした。
昭和54年。フィリピン国家電力公社が発注したあるプロジェクトを、日本の商社・T社がもっとも安い値で落札しました。
ところが、なぜか電力公社が実際に仕事を発注したのは、オーストラリアのA社だったのです。
なぜ、このような逆転劇が起こったのか。公社総裁がリベートをとったなどと黒い噂が立ちましたが、確たる証拠はありません。今後のこともあり、T社側では厳しく詮索することなく、穏便にすませてしまいました。
しかし、この事件の裏で調達官が暗躍したのはたしかです。フィリピンでは事業の受注に関しては調達官が実権を握っているため、調達官の一声できまることが多いのです。
そこで、入札の前後から企業は自然と調達官にさまざまなアプローチをします。金はもちろん、女、物……という具合に。
だから公共事業の入札などという、法律のルールできめられることでも、油断していると土壇場であっと驚くドンデン返しを食らいかねないのです。
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