強運な人物というのがいますが、それが有名人だと当然歴史に残ります。19世紀のフランスの画家ドラクロアもその1人だったのです。
2度あることは3度あるといいますが、彼にいたってはそれは5度もありました。子供のころに命を落としそうになった回数です。
それでも、まだ1度目は即、死に結びつくようなものではありませんでした。軍人の兄が使っていた乗馬用のヒモに、ひょんなことから引っかかってしまい、宙吊りになってしまったのです。
だが、それ以降は本格的に死と直面します。
2度目は焼死寸前。幼い彼の部屋に、女中がうっかり火のついたロウソクを置き忘れたのが原因でした。このときロウソクの火が枕やシーツに燃え移り、ドラクロア少年は背中にヤケドを負ってしまいます。成人してもその跡は彼の背中に残ったままだったのです。
3度目はあわや溺死というめに。女中がドラクロアを抱いたまま船から船へ乗り移ろうとしたとき、足を踏みはずして海に落ちてしまったのです。幼いドラクロアがいっしょに溺れたのはいうまでもありません。
4度目は、父親の絵の具を食べて毒死しそうになり、最後は、食べていたブドウがのどにつまってあやうく窒息死。
といった具合に、死にかける事故が続いたのです。
「めくるめく色彩と粗いタッチの躍動感」と評される巨匠ドラクロアですが、これ、ひょっとして子供のころの臨死体験の感覚そのものかもしれません。
ドラクロアの絵は臨死体験によってつくられた?
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