昭和30年代前半、プロ野球は西鉄ライオンズの黄金時代でした。魔術師三原脩(おさむ)監督率いる野武士軍団が野球ファンを魅了、昭和33年の巨人との日本シリーズでみせた奇跡の大逆転で西鉄人気は頂点に達しました。
ところがこのシリーズで西鉄は第1戦から3連敗、巨人は新人の長島茂雄などの活躍で優勝に王手をかけました。
が、第4戦、剣が峰に立った西鉄の三原監督は、鉄腕とよばれた剛球投手、稲尾和久を第3戦につづいて先発におくりました。監督の意気を感じた稲尾は期待どおりに好投をし、湿りがちだった打線も中西太、豊田泰光などの猛打が一気に爆発、投打のバランスがかみあい第4戦をものにしました。
こうなると西鉄は強い。第5戦でも稲尾は4回からリリーフとして登場し、勝利をものにしました。つづく第6戦も、まさかと思われた稲尾が先発し、みごと完投勝利を飾りました。
ここまでくると、誰も怪物稲尾の勢いを止めることはできません。最後の第7戦にも先発して完投勝利をおさめ、なんと4勝3敗で西鉄が巨人に逆転勝ちしてしまったのです。
このシリーズで稲尾はホームランも1本打ち、最優秀選手に選ばれました。まさに「神様、仏様、稲尾様」といわしめた神業でありました。
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