昭和57年9月14日、東京都足立区内のパチンコ店でちょっとした事件が起こりました。客として遊びにきていた林宗雄さん(仮名・36歳)が、スリにサイフをスラれてしまったのです。
しかし、勇敢にも林さんは自分の力でスリを捕まえ、
「人の金に手をつけるなんて、ふてえ野郎だ。おまわりさん、厳重に処分してくださいよ」
といいながら、駆けつけた綾瀬署の署員に引き渡しました。
綾瀬署の署員は、この立派な行為に大感動。「ご協力感謝します」とていねいに挨拶して立ち去りました。
ところが、その数日後、同じく綾瀬署の署員が、その事件の1週間ほど前に起こった窃盗事件の犯人を逮捕してみると、なんとその犯人は、スリを捕まえた立派な一市民であるはずの林さんではありませんか。
じつは、先日スラれた金も、彼が窃盗で手に入れた「他人の金」だったというわけです。その日から、自分の捕まえたスリといっしょの留置所に入れられてしまった林容疑者。まったく「ふてえ野郎」であったのです。
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