死刑を告げられた男の運命はどうやって逆転したのか?!

マルティニーク島最大の火山ブレー山が、1902年5月8日、突如として大噴火を起こし、麓の町サンピエールを焼きつくしました。火山灰とガスが混ざった800度もある蒸気が町を覆い、住民3万人が全滅するという大惨事でした。
だが、じつは生き残った者が2人いたのです。1人は、レオン・コンプレール・レアンドルという靴職人。彼は、蒸気から逃れ、東に6キロメートル離れた町までたどり着いたというから、逃げどころがよかったらしいのです。
そして、もう1人の生存者は、地下牢に閉じこめられていたオーギュスト・シバリという男。
殺人の罪で絞首刑を宣告されていた彼は、小窓がひとつあるだけの独房に閉じこめられていました。噴火の蒸気は、その窓から入りこみ、独房内も異常な熱さに包まれたといいます。
だが、彼は窒息しないようにと、小便をかけて湿らせたシャツを頭に巻きつけました。背中にひどいヤケドを負いましたが、命は助かったというわけです。
その後、罪を許されたシバリは、サーカスの催しもの『サンピエールの囚人』を演じて名が知られるようになったといいます。
死刑を告げられた男の、ありえなかったはずの「その後」でした。

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