これを拾って天国と地獄を行き来した漁師

ギア・ロン皇帝は、安南(ベトナム)の名王との誉れが高かった人物です。彼の墓は何者かにねらわれ、荒らされたとの噂でした。
あるとき、ひとりの漁師がユエ川で釣りをしていたところ、頭蓋骨が流れてきました。
拾いあげて調べてみると、あのギア・ロンの頭蓋骨ではありませんか!驚いた漁師は、さっそく王宮に頭蓋骨をもっていきました。
そこには、思いも寄らぬ恩恵が待っていました。その漁師には、政府の高官の地位があたえられ、彼の子供たちにもなんらかの地位、そして地位に応じた終身年金が支払われることになったのです。
そして、漁師のためのパコダ(仏塔)も……。なんらかの見返りを期待していた漁師でしたが、「まさか、こんなにも……」と思うほどの夢のような話でしたでしょう。
ところが、「いい夢」はすぐに覚めるというのが世の常。神聖な国王の頭蓋骨に不浄の手をかけた、との罪でなんと首斬りの刑に処されたのでした。
天国のような王宮の生活から、地獄に突き落とされた漁師。こんなことなら、頭蓋骨なんか拾わなきゃよかった……。

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