運が尽きたチャンピオンの人生最期の逆転KO劇

日本のボクシング界は数多くの世界チャンピオンを輩出してきましたが、大場政夫はそのなかでもまれにみるファイターでした。
世界フライ級チャンピオンの大場政夫が、5度目の防衛戦にタイのチャチャイ・チオノイを迎えたのは、昭和48年1月2日です。場所は、両国の日大講堂。
第1ラウンド、大場は挑戦者の右ロングフックをアゴに受け、腰からくずれるようにダウン。からくも立ちあがったフラフラの大場は、さらに2発目をくらい、2度目のダウンを喫しました。しかもそのとき右足首を捻挫、痛む右足をひきずりながら必死に防戦しました。
その後、2ラウンド、3ラウンドも大場はよろめきながら防戦、なんとも痛ましい姿をさらけだしました。観客の脳裏にはマットに沈んでぶざまに横たわる大場の姿がちらちら浮かびはじめました
だが、驚くべきことに大場はここから蘇りました。それまで防戦いっぼうだった大場のパンチがきまりはじめたのです。そして12ラウンドには初のダウンを奪い、さらに左右の連打をきめ、ロープダウンを奪いました。
こうなると止まらない大場。一方よろよろとよろめくチャチャイ。レフェリーがロープダウンを宣したのは3分終了と同時でした。大場は3回目のダウンを奪い、みごとKO勝ちをおさめました。
精神力で勝った粘りの大逆転劇。大場はこのとき23歳でしたが、この試合で人生の幸運をつかいはたしてしまったのか、3週間後に自動車事故で死亡、チャンピオンの座をあけ渡すことなく永遠に帰らぬ人となりました。

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