「天ぷら」や「鴨南蛮」などの定番のタネ物のなかで、その蕎麦屋の腕がはっきりと出てしまうのが「卵とじ」です。
その理由は、まずその店の「ダシを引く技術」が問われるからです。天ぷらや鴨の場合は種からダシや旨みが出るから、いまひとつ分かりにくいのですが、卵ではそうはいきません。最初から、しっかりとダシがきいていなければ、「卵とじ」は絶対においしくならないからです。
また、卵とじでは、卵の膜が、つまみ上げられるほどの細い糸のようになっていなければなりません。板のように固まっているのはダメ。卵を溶くとき、しっかり白身が切れていないと、卵がつゆにドボンと落ちてしまいます。かといって、掻き回しすぎて泡ができてはダメだし、卵の溶き方もいい加減には済ませられません。
このように卵とじは、手抜きができないものなのです。ダシの引き方、つゆの味つけ、卵の具合……蕎麦屋の腕をチェックできるポイントがいくつもあるのです。
(Visited 15 times, 1 visits today)
Comments are closed